Topic N1

N1 631📖 Reading

2. Society - The Illusion of Empathy

N1 Reading lesson 2

📄Passage

SNSえすえぬえす爆発的ばくはつてき普及ふきゅうにより、我々われわれ他者たしゃ日常にちじょう感情かんじょう瞬時にしゅんじにアクセスあくせすできるようになった。「いいね!」という記号一つきごうひとつ共感きょうかん表明ひょうめいし、あたかも世界中せかいじゅう人々ひとびと繋がっているつながっているかのような万能感ばんのうかん陥るおちいる。しかし、そこで交わされるかわされる感情かんじょうは、果たして真のしんの意味いみでの「共感きょうかん」なのだろうか。

画面越しがめんごし情報じょうほうは、常に文脈ぶんみゃくから切り離されたきりはなされた断片だんぺんにすぎない。発信者はっしんしゃがその言葉を紡ぐことばをつむぐ至ったいたった葛藤かっとう歴史れきし想像そうぞうすることなく、剥き出しのむきだしの感情かんじょうだけに過敏にかびんに反応はんのうしてしまう。これは「共感きょうかん」というよりは、むしろ自己のじこの願望がんぼう投影とうえいした「同調どうちょう」ごときものであると言わざるを得ないいわざるをえない安易なあんいな共感きょうかんは、ときとして集団心理しゅうだんしんり煽りあおり独善的どくぜんてき正義の元にせいぎのもとに他者たしゃ排斥はいせきする兇器きょうきへと変貌へんぼうする。

真のしんの共感きょうかんとは、相手あいての「分からなさわからなさ」を抱きいだきながら、それでも歩み寄るあゆみよるという、泥臭くどろくさく孤独なこどくな作業さぎょうであるはずだ。自分じぶんとは相容れないあいいれない価値観かちかん目前もくぜんにしたとき、それを否定ひていするのではなく、その背景はいけいにある痛みいたみ想いを馳せるおもいをはせること。そのような想像力そうぞうりょく欠いたかいた繋がりつながりは、砂上の楼閣さじょうのろうかくのごとく脆いもろい

Questions

1

SNSでの「いいね!」に対する筆者の見解はどのようなものですか。

A.共感しているかのような錯覚を与え、真の理解を妨げる恐れがある。
B.瞬時に世界中の人と繋がることができる素晴らしい発明だ。
C.真の共感を構築するための最も効率的な手段である。
D.言葉を使わずに感情を完璧に伝えることができる画期的な方法だ。
2

筆者が「安易な共感」の危険性として挙げているものはどれですか。

A.独善的な正義感を生み、他者を排斥する攻撃性に変わること。
B.情報の量が増えすぎて、日常生活に支障をきたすこと。
C.他者への関心が薄れ、社会が冷淡になること。
D.スマートフォンの依存症をさらに深刻化させること。
3

筆者が考える「真の共感」に必要不可欠な要素は何ですか。

A.相手と同じ意見を持ち、一切の反対をしないこと。
B.自分の願望を相手に完璧に投影して同調すること。
C.相手の「分からなさ」を認めつつ、背景にある痛みを想像すること。
D.画面越しの断片的な情報を全て信じること。
4

文中の「砂上の楼閣」という表現は何を例えていますか。

A.海岸沿いに建てられた歴史的な建築物。
B.集団心理によって作られた強力な正義感。
C.SNS上の非常に美しいグラフィック。
D.想像力を欠いた、非常に脆い人間関係や繋がり。
5

文中の「同調」と「共感」の違いについて、筆者はどう述べていますか。

A.共感はSNSで簡単に行えるが、同調には対面での対話が必要だ。
B.同調は自己の投影であり、共感は相手の背景を想像する苦労を伴うものだ。
C.両者に本質的な違いはなく、どちらも社会を繋ぐ役割を果たす。
D.同調は相手を理解することで、共感は自分の意見を押し付けることだ。

📚Key Vocabulary

表明

ひょうめい

expression/declaration

紛糾

ふんきゅう

complications/dispute

紡ぐ

つむぐ

to spin/weave (words)

排斥

はいせき

exclusion/rejection

剥き出し

むきだし

bare/exposed

砂上の楼閣

さじょうのろうかく

castle in the air/fragile foundation

孤独

こどく

solitude/loneliness

独善的

どくぜんてき

self-righteous

相容れない

あいいれない

incompatible

想いを馳せる

おもいをはせる

to reflect on/imagine

✏️Grammar Points

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