Topic N1
Japanese Learning
13. Sociology - Risk Society and the Reflexivity of Modernization
N1 Reading lesson 13
📄Passage
ウルリッヒ・ベックが提唱した「リスク社会」論の核心は、近代化の進展そのものが自ら新たな社会的リスクを生産し続けるという逆説にある。「富」の分配をめぐる階級闘争を基軸としていた伝統的な産業社会は終焉を迎え、現代は不可視で予測困難な「危険」の分配をめぐる社会へと変貌を遂げた。核エネルギーや遺伝子操作、地球規模の気候変動といったリスクは、近代技術の高度化ならではの産物であり、一度制御不能に陥れば、階級や国境を越えて地球上の全生命にわたって壊滅的な被害をもたらしかねない性質を帯びている。
このようなリスクは、感覚器で直接捉えることができず、常に科学的な専門知識やメディアによる報道を媒介してしか認識されない。それゆえに、情報を独占する少数の専門家や政治的権力者に依存するよりほかない。しかし、科学技術に対する絶対的な信仰が揺らいだ現代において、専門家のリスク評価が常に客観的で正しいと盲信することはもはや許されない。
迫り来る破局を回避するためには、私たちが自明のものとして恩恵を享受してきた「近代化」そのものの前提を根底から疑い、自らの手で批判的に再構築する「反省的近代化」という痛みを伴う作業を経ることなしに、解決への道は開かれない。巨大なリスクを社会システム内部にいかに統合し、民主的な意思決定のプロセスを通じて制御していくか。それは現代を生きる我々全員に突きつけられた、極めて重い課題なのである。
❓Questions
ベックの「リスク社会」とはどのような社会ですか。
現代のリスクが持つ「危険極まりない性質」として筆者が挙げているものはどれですか。
現代人にとって専門家や政治的権力者への「依存を余儀なくされる」理由は何ですか。
筆者が現代のリスク評価について警告していることは何ですか。
文章中の「反省的近代化」とは具体的にどのような行動を指していますか。
📚Key Vocabulary
提唱
ていしょう
advocacy/proposal
逆説
ぎゃくせつ
paradox
終焉
しゅうえん
demise/end
変貌
へんぼう
transformation/metamorphosis
不可視
ふかし
invisible
壊滅的
かいめつてき
devastating/catastrophic
媒介
ばいかい
mediation/intermediary
盲信
もうしん
blind faith
回避
かいひ
avoidance/evasion
反省的
はんせいてき
reflexive/introspective
✏️Grammar Points
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